羽アリの駆除方法
シロアリ・クロアリの違いと自分でできる対策について

羽アリの駆除方法 暮らしのお困りごと
家の中に発生する羽アリにお困りの方も多いのではないでしょうか。阪神大震災のときに倒壊した建物の中には、シロアリによってダメージを受けた家が多かったそうです。羽アリの大量発生時は、不快に感じるだけでなく、建物へのダメージも心配されるため注意が必要です。そこで、自分でも実施できる羽アリの駆除方法について紹介します。

シロアリとクロアリの羽アリの違い

シロアリとクロアリの違い

羽アリには、大きく分けて「シロアリ」と「クロアリ」があります。その名称から区別は容易に思えますが、シロアリも羽が黒っぽいこともあれば、クロアリも羽が透明や白っぽく見える種類もいるため、一見してすぐ区別するのは難しいです。それぞれの特徴を知っておくと効果的な駆除がしやすいため、ぜひ違いを押さえておきましょう。

シロアリの羽アリの特徴

シロアリはセルロースという木材に多く含まれる繊維を食べ、建物に重大な被害を及ぼす害虫です。シロアリは、触覚や体の形がほぼまっすぐと単調で、4枚の羽の長さもほぼ同じです。暖かく湿気のある環境を好み、4~9月頃に多く見られます。シロアリはおおよそ数mmの大きさですが、女王アリは3~4cmにもなり、繁殖のために腹部が非常に発達しています。女王を中心に土の中や木材の中に巣を作る性質があります。

クロアリの羽アリの特徴

クロアリはシロアリの天敵で、そのためにシロアリが多いときに一緒に発生します。クロアリはシロアリと違い、触覚が曲がっていたり、胸部と腹部の間がくびれていたりとユニークな形状をしています。羽の長さも2枚ずつ異なります。クロアリの女王アリはシロアリほど大きくはありません。シロアリの増加から少し遅い6~11月頃に大量に発生する傾向があります。基本的に土の中に巣を作り、繁殖を終えるとオスのクロアリは死去します。

羽アリの発生時期

羽アリの発生時期はシロアリとクロアリで異なります。シロアリは4~9月の温かい時期に発生し、それから1~2カ月遅れてクロアリが増えてきます。シロアリは巣を作ると、羽を落として繁殖を行うため、室内でシロアリの羽を見かけたら大量発生を警戒しましょう。クロアリは羽が落ちていた場合は、逆に寿命を迎え始めているサインです。ただし、最近は暖房などによって年間を通して温かい家も多く、冬でも発生する場合があります。

羽アリが大量発生する理由

羽アリが大量発生する最大の理由は、繁殖時期を迎えたからです。非常に繁殖力が高く、一匹の女王アリから数百の羽アリが生まれます。羽アリは繁殖によって巣がいっぱいになると、新しい女王アリを中心にしたグループが巣を探して飛び立ちます。巣の候補になるのは高温多湿で食べ物の多いところです。木造住宅はもちろん、庭や、家の日当たりの悪い部屋、床下、水回り、排水溝付近も要注意です。また、生ゴミやダンボール紙なども食べ物になる可能性があるため、ゴミ置き場が近い場合も注意しましょう。

大量発生したシロアリの駆除方法

さまざまな害をもたらすシロアリですが、各個体に対する駆除はそれほど難しくありません。しかし、根絶のためには巣に潜んでいる何百匹というシロアリを全滅させる必要があり、個人では難しい面があります。そのため、まずはシロアリの発生を警戒し、もしシロアリの羽アリを見かけたら早めに業者に相談するのがよいでしょう。

シロアリの羽アリの場合は要注意

家の中で見かけた羽アリがクロアリであれば特別な害はありませんが、シロアリだった場合には注意しなければなりません。シロアリは床下や壁の中、天井裏など、人間の見えないところに巣を作り、住宅や家具などを食べて弱らせてしまいます。シロアリの羽アリは巣作り・繁殖のために移動している時期で、もし見かけたら、近くに巣を作られる可能性があります。羽が落ちていたら繁殖がすでに始まっているサインで、一層の警戒が必要です。

業者に相談した方が良い理由

シロアリの羽アリ駆除は、一匹一匹はできるとしても巣の中のアリまで完全に全滅させるのは個人では難しいです。シロアリはその生態上、人間の目や手の届かないところに巣を作るのが特徴です。また、羽アリの状態は、巣に適したところを探している段階で、下手に駆除するとシロアリが逃げて一層駆除しにくい場所に巣を作られるリスクがあります。駆除業者は専用の薬剤だけでなくノウハウももっているため、早めに相談した方が有効な手を打つことができます。

大量発生したクロアリの駆除方法

クロアリの駆除イメージ

クロアリの羽アリ駆除は、シロアリに比べると個人でも駆除を行いやすいです。どうしても駆除しなければならない種類の虫ではありませんが、室内を自由に這い回られるのは考えものです。クロアリを大量に見かけた場合、どのように状況を判断し、有効な駆除方法を選ぶべきか、具体的な方法と合わせて解説します。

殺虫スプレーを羽アリに直接使用する

殺虫スプレーは薬剤を対象に噴霧して対象を駆除するため、虫が苦手で近寄りたくない人におすすめです。ただし、アリだけでなく人間にも有害な成分が含まれ、引火する可能性もあるため使用方法を必ず守りましょう。また、乳幼児や高齢者がいる部屋での使用は控えた方が無難です。クロアリの羽アリではなく、シロアリの羽アリに殺虫スプレーを使うと逆に完全な駆除が難しくなるため、まずは羽アリの種類をしっかり確認しましょう。

燻煙タイプの殺虫剤で家ごと殺虫する

燻煙タイプの殺虫剤は、室内に霧や煙の形で薬剤を散布して室内の対象を駆除します。空中や手の届かない場所にも薬剤が入り込むため駆除効果が高いです。ただ、一般的にクロアリの羽アリはシロアリと違って住宅内に巣を作らないため、クロアリ駆除だけのために行うには手間で適切ではありません。他の虫もまとめて対策したいなら適切ですが、クロアリについては、隙間を塞ぐなど、侵入を防ぐ方がより効果的です。

羽アリが家に入らないように侵入経路を塞ぐ

クロアリは屋外に巣を作るため、家の中で見かけた場合は、どこかから侵入してきています。そのため、単純ではありますが、侵入経路を塞ぐのが効果的な対策です。クロアリの羽アリは電灯の灯りにむかって飛んでくる習性があり、網戸の隙間や、ドアや窓の開閉時に室内に侵入します。そのため、侵入経路になりそうなところに忌避剤や殺虫灯を利用し、電灯がついている部屋の窓の開けっ放しや不要な開閉に気をつけるとよいでしょう。

掃除機で直接吸い取る

家の中でクロアリの羽アリや、落ちた羽、死骸などを除去したい場合は、掃除機で直接吸い取ってしまうのが最も簡単です。掃除機によっては、吸引時の圧力で駆除できる場合もあります。ノズルの種類が多いものや、ハンディタイプやコードレスの掃除機は特に便利です。掃除機で吸い取っても、生きていればまた出てくる可能性があるため、吸い込んだ後にノズルから殺虫剤を噴霧し、ノズルの先端をビニル袋でしばらく閉じておくと確実です。

粘着テープ・コロコロを使用する

侵入経路をどんなに塞いでも、数匹はどうしても侵入してくるものです。室内でいつでも手軽に使えるのが粘着テープやコロコロなどで、羽アリを捕まえてそのままゴミに捨てることができます。お金もかからず、安全で、夜中でもできるのがメリットですが、虫が苦手な人にはちょっと抵抗があるかもしれません。虫の苦手な人は取っ手の長いタイプのコロコロを使うとよいでしょう。ただし、飛び回っている羽アリには効果がないため注意してください。

まとめ

羽アリの駆除は、シロアリかクロアリかで方法が大きく変わってきます。シロアリの場合は、その生態上、素人が自力で完全に駆除するのは難しいため、専門の業者に依頼するのがよいでしょう。クロアリの場合は、基本的には侵入を防止し、室内に入ったものを個別で対策します。羽アリの種類や状況に応じて適切な方法を選びましょう。
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