フリーランス(個人事業主)のちゃんと考えたほうがいい経費や税金のこと

フリーランス(個人事業主)のちゃんと考えたほうがいい経費や税金のこと 働き方
会社や組織に縛られず、自分のペースでやりたいように仕事がしたい。クラウドソーシングやクラウドサービスの広がりにより、フリーランスになる人が年々増えています。
働く時間も場所も自由ですが、その一方で日々の事務作業はもちろん、確定申告などもすべて自分で行わなければなりません。経費や税金についてきちんと管理していかないと、思ったように収入を得ることができなくなる場合もあります。
この記事では、フリーランスがちゃんと考えたほうがいい経費や税金のことについて、詳しく解説していきます。

組織に縛られないフリーランスという働き方のススメ

フリーランスイメージ

それでは最初に、フリーランスという働き方について、どのようなものかを改めて確認していきましょう。

フリーランスとはどういう働き方か

フリーランス(freelance)の語源は、中世のヨーロッパに遡るといわれています。主君を定めることなく、雇われて働く兵士である「傭兵」のことを意味していました。
それが転じて現代では、特定の企業や団体・組織などに所属することなく、自らの能力を活かすことにより、個人で独立して事業を営む「個人事業主」を指すようになっています。

フリーランスで働いている代表的な職業

ライター

近年では、インターネットの発展により、Webなどで大量の記事が公開されるようになっています。そのため、フリーランスのWebライターには多くの需要が生まれています。

デザイナー

Webページを魅力的なものにするためには、プロフェッショナルなデザイナーによるデザインも必要です。フリーランスのWebデザイナーも、やはり多くの需要がある職業です。

プログラマーやエンジニア

AIやIoT、ビッグデータ、クラウドなど、近年ではさまざまな先端IT技術が急速に発展しています。経験と実績があるプログラマーやエンジニアは、企業に所属しなくても仕事ができるようになっています。

フリーランスで働くメリットは?

では、フリーランスで働くとどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
  • 確かな技術を持っている場合には収入が増加する
  • 自分の裁量で時間を使えるので自由度が高くなる
  • 仕事とプライベートのワークライフバランスが取りやすい
  • 組織内でありがちな人間関係のストレスに煩わされることがない
  • 定年退職をする必要がない
需要の高く、専門的な能力を持っている方には、は特ににメリットのある働き方と言えます。

個人事業主1年生の皆さん、経費をちゃんと理解しよう

経費イメージ

フリーランスが個人事業主として仕事をしていくためには、経費と税金についてしっかりと理解することが大切です。ここでは、経費がどのようなものなのかを見ていきましょう。

経費とは

経費とは、「事業を営み、収入を得る上で必要となる費用」のことです。収入から、経費および青色申告特別控除などを引いた額が「所得」となります。税金は所得に対してかかりますので、経費を適切に申告しないと、税金を余計に払わなければなりません。

経費で落とせる判断基準は?

経費として落とせるかどうかの判断基準は、「事業に関係しているかどうか」です。たとえば、ライターの場合なら、執筆に必要となった書籍などの資料代や、取材のための交通費などは経費となります。
家で仕事をしている場合なら、家賃や水道光熱費などは、事業と生活との両方のために必要になるものです。事業と生活の両方に必要になるものは、「按分」を行い、それぞれの割合を決めて振り分けます。

経費を落とすために必要なこと

フリーランスになったら、必ず領収書やレシートをもらいましょう。経費として計上するために必要です。原則として、これらがないと経費として落とすことはできません。
確定申告をする際には、領収書やレシートは提出の必要はありません。ただし、保管の義務があり、仮に税務調査などになった場合は、提出しなくてはなりません。

経費に入る項目の例

では具体的にどのようなものが経費として計上できるのでしょうか。具体例を挙げてみましょう。
家賃や住宅ローン(地代家賃)、水道・ガス・電気代(水道光熱費)
– 事業と生活とで按分します。
携帯電話代やネットの接続料(通信費)
– 事業と生活とで按分します。
打ち合わせなどの際の喫茶店代や食費(接待交際費)
打ち合わせ相手の人数や名前をメモしておきましょう。
新聞や書籍、ネットの有料ページ(新聞図書費)
自動車やガソリン代、駐車場代(車両費)
旅費や交通費(旅費交通費)
文房具やIT機器など(消耗品費)

フリーランスは税金を自分で納めなければならない

税金イメージ

会社員であれば、会社が代わりに税金を収めてくれますが、フリーランスは確定申告をし、自分で納めなければなりません。
ここでは、フリーランスが納める税金の種類、および税金を支払わなかった場合の罰則について見ていきましょう。

フリーランスが納める税金の種類

フリーランスが納める税金は以下の6種類です。
  1. 所得税
  2. 住民税
  3. 国民健康保険税
  4. 国民年金税
  5. 個人事業税
  6. 消費税

所得税

所得税は、1年間の所得が38万円を超えた場合に、定められた割合で課税されます。
所得は、上で見たとおり、収入から経費を引いたものです。経費をどれだけ漏らさずに申告することができるかが、節税のポイントになります。
ライターなどの場合なら、報酬を受け取る際に源泉徴収がされていることも多いでしょう。源泉徴収された分の税金は、確定申告の際に差し引いて計算します。

住民税

住民税は、都道府県に納められる税金です。所得税の確定申告を行うと、自動的に計算されます。所得が一定の額を下回る場合には、減額あるいは免除されることもあります。

国民健康保険税

会社員をやめてフリーランスになった場合は、国民健康保険に新たに加入することになります。国民健康保険税も、確定申告を行うことにより自動的に計算されます。

国民年金税

国民健康保険と同様に、国民年金に加入することになります。もし収入が少なくて支払いが難しい場合には、申請をすることで、減額あるいは免除されることがあります。

個人事業税

個人事業税は、法律で定められた70業種の個人事業主に課税されます。また、290万円の控除額がありますので、所得が290万円以下の場合には課税されません。

消費税

消費税は、年間の収入が1,000万円を超える場合に納税義務が発生します。

支払わなかった場合の罰則は?

税金を支払わなかった場合には、その理由によって、以下の4種類の罰則があります。

脱税

意図的に納税を免れた場合は「脱税」となり、本来払うべき税金の額に加え、税額の35%程度の重加算税が科されます。

無申告

確定申告をしないと「無申告」となり、無申告加算税が科されます。無申告加算税の額は、税額が50万円までは15%、それを超える場合は20%です。

過少申告

本来申告すべき税額より少なく申告した場合には「過少申告」となります。税額の10%程度の過少申告加算税が科されます。

延滞

確定申告を期限までに行わなかった場合には延滞税が科されます。

経費と税金を知らないと失敗する!?フリーランスのお金の管理

青色申告イメージ

フリーランスは、お金の管理をきちんとしないと損や失敗をすることもあります。ここでは、経費や税金の管理方法を見ていきましょう。

青色申告や確定申告をスムーズにするためにも、経費の管理が重要

フリーランスがお金の管理をしっかりとする必要がある大きな理由は、「青色申告をするため」です。確定申告の方法として2つある白色申告と青色申告は、控除の額が、
  • 白色申告 …10万円
  • 青色申告 …65万円
と、大幅に違います。
また、青色申告にはそのほかにも、配偶者などのへの給与を経費に算入できるなど、白色申告に比べて大きなメリットがあります。青色申告をするためには、帳簿を作成しなくてはなりません。

管理のための会計ソフトやクレジットカード、事業者用の口座などを用意する

「帳簿をつけるといわれても、自分には簿記の知識もないし、大変すぎる…。」
そう思う人もいるでしょう。
しかし、近年では、「クラウド会計ソフト」など、手軽に帳簿をつけるための会計ソフトが普及するようになっています。事業者用の銀行口座とクレジットカードを用意し、経費はクレジットカードで支払いをすれば、あとは簡単な操作をするだけで、会計ソフトが取引の履歴を自動的に読み込み、帳簿や確定申告書など必要な書類を作ってくれます。クラウド会計ソフトは、利用料金もそれほど高くはありませんので、試してみてはいかがでしょうか。

まとめ

フリーランスになったら、きちんと考えたほうがいい経費と税金のこと。お金の管理をきちんとしないと、税金面で損をすることがあるばかりか、最悪の場合には罰則を受けることになりかねません。会社員時代は「お金には無頓着だった」という人も、一念発起して、お金の管理にぜひチャレンジしていきましょう。
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